手に入れたいのはお前だけ。




奏太は知らない。



俺が本当は奏太をどう思ってるか。



奏太について、
どれくらいのことを知っているか。



「あれ同じクラスの浅田さんだよな?
その子付き合ってもない女の子との
キスを、運悪く見られた子でさ」



バツが悪そうに笑いながら
奏太がイタズラした子供みたいに話す。



ーーそんなの知ってるよ。



そのときの千澄の表情も。



俺は見てきたんだから。




「……そうなんだ」



「その子、なんか言ってた?」



「いや、別に何も」