手に入れたいのはお前だけ。




「そろそろ泣き止め」



「だって由くんが……っ」



「俺まだ種目残ってんだぞ」



ーーーーあ、そうでした。
借り物競争だよね!……って。



「この身体で出る気なの?!」



「今なら俺、走れる気がするから」



それから由くんは、言ったとおり借り物競争に出場した。



紙を引いた瞬間、あたしのもとに走ってきたけど。



借り物がなんだったかを聞いても、教えてくれなかった。



ただただあたしは由くんにお姫さまだっこをされ、そのままゴールまでぶっちぎり一位。



こうしてあたしたちの体育祭は幕を閉じた。