手に入れたいのはお前だけ。




「大丈夫なわけないじゃん!あたしのせいで……」



「大丈夫だよ」



強くそう言われて、そのまま抱きしめられた。




「ゆ、由くん?」



「千澄が転けるって思った瞬間、気づけば走ってた」



「え……?」



「初めて走って、倒れたけど楽しかったよ」



だから大丈夫、と由くんが笑う。



なに言ってるのよ、もう……。



「もしかしたらこれから、もっと走れるようになるかも」



「バカ……っ、」



そんな風に笑わないでよ。
涙が止まらなくなっちゃう……。