「わたしの、どこがだめなの?」 「どこがだめとかそういうことじゃないんだ」 「え……?」 完全に表情の崩れた忽那をなだめるように、俺は言葉を続ける。 「俺は、千澄みたいに自分の気持ちが素直に言えなくて、控えめで。でも俺のことを本気で愛してくれてるような、そんな子が好きなんだ」 君とは正反対の女の子だよ。 意味はわかるだろう。 そこまで言うと、忽那はクッキーの袋を乱暴にかばんに押し込んだ。 こんな姿は初めて見たけど、これが彼女の本性なんだろう。