「……別に、好きってわけじゃ……」


ううん、ちゃんと好きだった。



高校生になって、初めての恋だったんだ。


理由なんてわからない。
でも気づいたら、好きだった。



「ふーん。じゃあなんで泣いてんの?」



「えっ!?」



目尻を優しくなぞられて、あたしの胸がドキリと音を立てた。



泣いてる?あたし、が?



自分でも気づかなかった涙が静かに瞳からこぼれて、なぞった指を濡らしていた。



「気づかなかったの?自分が泣いてることに」



「えっと……う、うん。ごめんなさい……」



「なんで謝るの」