手に入れたいのはお前だけ。




そんな茂木くんに、あたしは何をしてあげられる……?



「えっと……ありがとう?」



出てきた言葉は、なぜかそれだけだった。



「なんでありがとうなの」



「え?それは……手を出さないでくれて……?」



遊ばれて捨てられたら、それこそあたしはあの日以上のショックを受けて立ち直れなかったと思う。



まああたしは深高くんの彼女だし、もし誘われていても誘いには乗らなかっただろうけど。



「はは、やっぱり千澄ちゃんは面白いなあ」



一瞬目が点になったあと、茂木くんはお腹を押さえながら笑った。



……なんで笑うの。恥ずかしい。