「だけど由は、暗いやつなんかじゃなかった。そりゃ全然人としゃべらないけど。どこかあいつには人を寄せ付ける力があった」 「力……」 「うん。いつもにこにこしゃべってる俺より、ひとりで音楽聴いてるようなやつのほうが人気者でモテるなんて、おかしいだろ?」 「…………」 「だから俺はいつしか、由をライバル視するようになった」 本音で語っているっていうのが、苦しそうな表情からひしひしと伝わってくる。 これがずっと茂木くんが、ひとりで背負っていたもの。