――とは言ったものの。 「おい浅田。こんな問題もわからないのかぁ?」 黒板の前、チョークを持ったまま固まるあたしに、数学の先生がプレッシャーをかける。 うう、そう言われましても。 数式とか数字が、あたしには何かの暗号にしか見えないよ……。 「家で解いてきてるはずだから、もちろん解けるよなぁ?」 う゛。解いてきてません。 すみません、先生。でも怖くて言えません……。 「ほら浅田、早くしないとみんなが待ってるぞ」 「う゛、は、はい……」