「そんなに好きなの?」



低いのに温かみを含んだ声が聞こえたのは、あたしの耳元。



そんな近くで囁かれたことのないあたしは、緊張とドキドキで体をこわばらせた。



「え、あ、あの……」



「そんなに奏太(そうた)が好きなわけ?」



“奏太”という名前が出てきて、さっきとは違う気持ちで胸がギュッと締め付けられた。



奏太というのは、茂木 奏太(もてぎ そうた)くん。



誰が見ても整った顔立ちに、誰にでも優しい性格。



文句なしの学園の人気者で大半の女の子の憧れの存在である、そんな男の子。