「望空…!」 横からはっきりと聞こえた、あたしの大好きな声。 あたしは首を少しだけ動かし、視界に彼を入れた。 「あ、おいくん……」 涼しげな色が薄いジーンズ生地のシャツのボタンを開けて、黒のシンプルなTシャツが見える。 カーキ色のズボンのポケットに手をつっこみながら、 蒼くんが歩くスピードを少しだけ速めてあたしに近づいてきた。 想像していたのよりも、ずっとかっこいい……。