いちごは蒼の言葉を遮り、蒼の裾を掴み引っ張った。 「あの子…ただもの落としただけじゃん。大丈夫だよ。助けに行かなくても。 ホント、蒼くんは心配性なんだからっ」 (ねえ、どうして助けに行こうとしたの? 蒼くん、わたし以外の女子といつの間に親しくなったの? ―――蒼くんは、あの子のことが好きなの?) 初めてだった。蒼が女子を助けようと動こうとしたのは。 そのことに少し驚きながら、さらに裾を引っ張る力が強くなるいちご。 (わたしのことだけ考えてよ。 わたしのことだけを想ってよ)