「……望空、大丈夫…だったんだよな」



「匠、心配してくれてありがとう。あたしはなんともないよ」




 ちょっと泣いた数が多かっただけ。



 傷ついたり苦しんだり、いろいろあったけど……今となってみれば全部「思い出」だから。






「神亀の姫とか……ウケる!!」



「真汰、笑わないでよ!」





 お腹をかかえて笑う真汰に、あたしは少し怒った。



 …でも、確かに笑えるかも。



 あたし、姫ってガラじゃないもんね。






「今ここに望空がいるならいいです。今までなにがあっても、それは過去のことですから」



「陽……そうだね」




 過去はどうしたって過去なんだ。それは変わらない。


 “今”だって、“過去”になるんだ。





 仁奈のことも――――…。