グッと手を強く握り締めながら望空は言った。 (雷輝さん………) 「でも、心織ちゃん。どうしてあたしの過去、知ってたの?」 「それは、わたしの友達のいとこが雷輝さんのクラスメイトで……」 心織がそう説明すると、望空は「そっか…」と切なげな笑顔を作りながら言った。 「さすがクリアだね。 ……あの日も、情報を得るために?」 (あの日……わたしを助けてくれたときのこと、だよね) 「違うよ。…あれは本当に絡まれてて……困ってたの」 「どうして、喧嘩しなかったの?」