「あっれー?望空ちゃん??
わー、偶然!!どうしたの、こんなところで?」
一人tulleの雑誌に手を触れさせながらしょんぼりしていると、聞きたくない声が耳に入ってきた。
「いちご、ちゃん…」
「やっほ☆ あ、わたしの雑誌だー♪見てくれてたの?嬉しい♡」
一つ一つの仕草が可愛すぎて、嫌になる。
そんなこと思ってるあたしは、やっぱり最低なやつなんだ。
「買おうかなぁって思ったんだけど、やめたんだぁ。ごめんね?今、金欠なんだぁ」
「そっかー。でも買おうとしてくれてありがとね♪」
「ううん…」
とっさに嘘をついてしまったあたしに、なんの疑いもなく「ありがとう」と言ってくれたいちごちゃんにあたしの心はズキン!と痛んだ。



