「なんでんな不吉なとこいんだよ。まぁいい。
あのさ、橘さんが飛び降りたとき、やけに早く教師が来ただろ?堕ちた場所はほぼ図書室の下。職員室と図書室は離れてる。なんであんなに早く行けたのかって不思議に思ってな。
んで、聞きに行ったら兼子先生が大慌てで職員室に飛び込んできたらしいぜ?
だから、ちょっと話を聞いてみたいからさあの人探しに…」
「…その心配はないよ」
「はあ?」とレージの怪訝そうな声を聞きながら、俺は改めて兼子先生を見据えた。
どこか観念したような、諦めきったような表情をしている。
けれどその瞳は、澱んだ光を写していた。


