同時に、疑問も生まれた。 なぜあの人がここにいるのだろう。 「………兼子先生」 白髪が混じった黒髪を風になびかせながら、兼子先生はいつものジャージ姿で立ち止まった。 「北見、なぜここにいる?」 「……先生こそ、なんでこんなところに」 教員何年かは知らないが、この人は怒るときはそりゃ泣くほど怖い。 現に俺は課題出し忘れて泣いたことがある。