屋上のドアから、誰か入ってきた。


驚いて思わず後ずさる。が、俺は縁ギリギリに立っていたのだ。

これ以上下がったら、堕ちる。


俺は目元を拭って、数歩前に歩き出した。

突如現れたその人物は、ゆっくりこちらに近づいてくる。


うつむいてるのかそれとも逆行のせいか、顔はよく見えなかった。

けれど、近づくにつれそれが誰か判断できた。