今度は下から風が吹いてくる。 これが、橘愛花が最期に見た景色。 俺が前に住んでいた町と違い、この町で一番大きな建物はこの学校だ。 だから、ここからこの町のすべてが見渡せる。 遠くに山が連なり、ときどき電車の走る音がした。 住宅地がただ点々と立てられていて、活発とまではいかないが穏やかな町の風景が広がっていた。 俺が住んでるアパートは、どの辺だろう。 調子にのって思わず下を見下ろしたとき。