「…ごめん。わからない」 彼は無表情にそう言って、去ってしまった。 ………俺、あいつ苦手かも。 ああいう浮世離れしたタイプは取っ付きにくい。 それが異性ならばなおさらである。 もしかして橘愛花も雪村君みたいな人だったのだろうか。 だったらやはり仲良くはできないだろう。 俺は気持ちを入れ換えるように深呼吸して、教室のドアを開けた。 すでにレージは席についてる。 俺の姿に気づいて、「よぉ」と手をあげてきた。