くあ…と欠伸を噛み殺しながら階段を下ると、下から3年の学年主任である兼子先生が上がってきた。

ちょうどいい。


「兼子せんせー、ちょっと聞きたいことあるんですけど 」

「…ああ北見か。どうした?課題のことか?」

「うっ…。まぁ…それはあとで聞くとして。橘愛花さん知ってます?」

予想通りというか、兼子先生は気まずそうに目をそらした。

「……ああ。新聞にも載ってたからな。かわいそうなことをした」


「え?」

「…もっと話していれば彼女を助けられたかもしれないという意味だ。
それで、橘がどうした?」