さらに腹が立ってきた。


つまりこいつは、すべてを知った上でなおなにも感じず、ただ黙認し続けていたのだ。


どうして…!!


グッと拳を握りしめる俺を見て、雪村君は剣呑な雰囲気をひそめ逆に可哀想なものを見る目をした。

「…いいよもう。価値観の違う存在は、絶対にわかりあうことはない。
だから、オレは君がなんと言おうと、自分の考えを改めることはしな」


俺はもう一度雪村君を殴った。

一回目に殴ったときよりも、弱々しい力で。