せめて、無情に突き放すのではなく先輩の事を思いやった言動をしてやれば、橘先輩は死なずにすんで兼子先生もあんな苦しい想いをしなくてすんだんだ。
「なんであの人を見限った!なんでそんな簡単に言えるんだよ!お前なら、橘先輩がすべてをかけて依存していたお前の言葉なら聞いたかもしれないのに、自殺なんてしなかったかもしれないのに…。
せめて優しく接してやれることはできなかったのか!?生きる希望とか言えなかったのか!?」
「…無駄だよ」
雪村君は殴られた頬を押さえながら、立ち上がった。
いつもの無表情なのに、なぜか恐ろしく感じる。


