俺は妙な居心地の悪さを感じた。
礼を言われるようなことも、謝れるようなこともしてない。
むしろ俺たちがしたのは、暴かなくてもいい秘密を暴いてしまった下世話な行為だ。
そしてその秘密を暴くことで、橘先輩と兼子先生のことを傷つけてしまったのかもしれないのに。
「……俺は、先生を警察にやったりしないし、橘先輩のことをみんなに公表するつもりもないです」
兼子先生はしばらく悔やむように目を伏していたが、「……すまない」とだけ言い残した。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…