「あんたは悪くない」




俺が放った言葉に、兼子先生は目を見開きレージは呆れたような表情をした。


「……お前がそう言うならそうでいいけどよ。泣くなよ?」

「ぇ…」


指摘されて目尻をぬぐうと、わずかだが濡れていた。

たぶん指摘されなければ泣いてただろう。


ごしごしとぬぐってると兼子先生が呆けたような声をあげる。


「私を……警察に突き出さないのか?」


「しません。先生はもう、十分後悔して、懺悔してる。脅すつもりもありません。ただ俺らは、知りたいから知っただけだから。むしろ俺らの方が悪いですよ、勝手に人のトラウマを土足で踏みにじって…。
本当にすみません」