「巻き込まれた?」


俺は頷く。


「あのときの悠兄みたいに、兼子先生は橘先輩を助けようとしたんでしょう?橘橘先輩は自殺であり、事故死だったんだ…そうでしょ?先生」


兼子先生は驚愕に目を見開いていたが、やがてゆっくりと肯定した。

まだ震えている。


「…橘先輩は、雪村君にフラれて、そのショックで自殺を試みた。
それを兼子先生は止めようとした。
それなのに、なんかの拍子で兼子先生は橘先輩を屋上から突き堕としてしまった。
だから、殺してない、勝手に堕ちたって言ったんだよ」