☆*:星降る夜に鈴の音.:*☆誠の華


『お前まで、私を弱いと言うのか⁉︎』

庭に、鈴の悲鳴のような怒号が響いた
頰には ぽたぽた、と雫が伝う。
まるで、駄々をこねている子供のように


『っ… 私は1人でも強くなった…!
私は両親がいなくても生きていけた‼︎』


「……。」



薄情、心の隅で自分を非難していた
私は両親を見捨てたのだ。
わかっている。



『一人でも…』

「ねえ、一人って苦しいよね。」


キュウ、と喉が詰まった。
ゴシゴシと袖で涙を拭う


「もう楽になっていいんじゃないの。
突っ張ってたって…どうせもう
離れること出来ないんだからさ?」


『う…っ。』


ひっく、としゃくりを上げると
総司が頭をなでなでしてきた。



「いい子、いい子。鈴はちゃんと
努力して 人を探してる。認めてるよ
みんな…言ってないだけで 鈴のこと
仲間だって 思ってるからさ」


『な、かま』


「うん。仲間
鈴は裏切らないし、見てて面白いし?
鈴は、弱くないよ 俺よりずっと
強いんだ。…たぶんね?」

最後は ニヤリ、と総司は笑った
仲間…。なんだかその言葉を聞くと
総司に ここにいていいよ?と
言われているようだった


『私は…仲間が…欲しかった?』


自分の 存在を認めてくれる人
自分の存在を認めてくれる場所。
私は、自分の居場所が欲しかったのかもしれない。




両親の淡い命は 幼い頃に消えた。
だから?



『いいのか、私は人斬りで
お前たちは、新撰組で…』


仲間になんて、なれないんじゃ?
聞こうとすると 総司は
ソツのない笑顔を浮かべた


「関係ないよ、…ほら 鈴は
やっぱり遠慮してる」 『あ、』


総司は 私を見透かして
あんなことを言ったのか。



まったく、かなわない。
この男には。



「お腹、すいたね…
甘味食べにいこう?」

『うん』



私は ふわり、と笑った。
うん…なんだか心の重荷が取れた
ような気がするんだ。



ありがとう、総司。




私は 小さく呟いた。





私は、新撰組の一員らしい。
仲間、らしい。ここが、私の
いるべき場所 らしい。


だから…守らないとね みんなを

大切な物、見つけた。 以外と
近くにある物だった。



だからこそ 散らしてはならない
花だ。 …私は裏切らない



必ず、長州との禍根を切り捨て

誠 に 沿って 。 歩いていこう。




この、馬鹿みたいに 楽しい、


馬鹿みたいに 真面目に私の存在
を認めてくれる。



私の 居場所で。