「今戻ったぜ。」
土方は広間の襖を開けて 中に入ると
部屋はなぜだかピリピリしていた。
私がいない間に 屯所には何か大きいことが起きたようだ。
土方は近藤さんがいる 前の席に座って
ため息をついた。
私はそそくさと総司の横に行き
ヒソヒソ声で話しかけた。
『ねえ、何かあったわけ?』
すると総司は 珍しく話を聞いていたようで さらり、と答えた
「山崎が潜入していた 桝屋で大量の火薬や武器が見つかって店主の
喜右衛門、本名古高俊太郎を捕縛。
土方さんの鬼のような拷問で討伐派の
馬鹿みたいな計画を言い出した。
夜に御所に火を放つ、ってゆう計画。」
『御所に、火⁉︎』
御所に火を放つと言う事は その混乱に乗じて何かをするつもりなのか。
「混乱に乗じて帝を拉致、会合場所は
柊屋。って言われてるよ」
総司が私に説明し終わると土方が
口を開けた
「鈴が 会合場所を聞いたらしい
場所は 池田屋。まあ、どちらも
これといって 断定は出来ねえ。」
「…恐らく、会合は明日だ」
近藤さんは 拳を握って低い声で言った
「御所を襲うなんて、許してはならんッ新撰組全精力を上げて阻止するぞ!」
部屋が震えるような大きい声を近藤さんが出した それに駆り立てられるようにみんなが 声を上げた。
私は、頑張ろうと思いながらも
あの不吉な夢を 思い出していた。
あんな風にならなければ良い。
それだけを私は願った。

