☆*:星降る夜に鈴の音.:*☆誠の華


しばらく、天月亭の外で待っていると
土方の姿を見つけて 声をかける。
辺りはもう暗いから 見つけにくいだろう

『ー…土方!』

呼びかけると、広い背中がこちらを振り返り 驚いたように目を見開いていた。


『土方。』


ふらつきながら、土方によって行く。
私の足の下には今 三枚歯の高下駄
がはかされていて どうにも足元が
おぼつかない。


『あっ、』

下の石畳の道につまずいて
カツンッ、と音が鳴り
体が前のめりになった。

転ける!と身を固くすると

ドサ、とすんでのところで 土方
に片手で抱えられていた。


「危なっかしい下駄履いてんじゃ
ねえよ 着物汚したらどうすんだ」

『は、ははは スマンな。』

こんなドジ踏むとは思わなかった
もう、高下駄は履かねえ。と思って
いると ふいに 片手の力が強まった


「………。」


土方は 無言で私を支え続けけているが
私は未だ 立てない。つーか 立てない
ギリギリのところで止められてる
気がする。 …ていうか



これ、ハタから見たら 抱きあってる
ように見えない?


『?』


周りを見ても、人通りは少ない。
え?起こしてくんねえの?

「……」


ギュ、『は?』 …両手でなんか
支えられれてんだけど。

私 土方の胸に頭 埋めさせてもらってん
だけど?


途端に胸がドキドキして、頰が赤く
染まっていく。 土方のどこか甘くて
刺激的な香りが私を包んだ。


『あ、あのー』

気まずい。え?これ どういう状況?
顔を上げて土方を見ると



土方は 炎が燻ってような 瞳で
私の目を見つめた。


憂いの帯びた艶のある色気が…
香り立つような切れ長の目、
漆黒の髪。形のいい唇



『……?』


目は、綺麗だったけど。どこか
苦しそうに していた。 それがなぜか
キュウ…と胸を締め付ける


『土方……?』


消え入りそうな声で 囁くと
土方は 苦しげに、笑って私を
立たせた。


「危ねえな、たく。」


…随分、時間が経ったと思っていたのだが、見つめ合っていた時間は思ったよりも短かかったらしい。


1秒が1分に感じた気分だ。