☆*:星降る夜に鈴の音.:*☆誠の華




だけど、新選組に敵意を持っているって事は こいつら尊攘派の浪士だな。


しかも、目に物見せてくれるって…
一体なにをするつもりなのだ?
できれば潰したい。


私は細く開いた襖から中の様子を
伺ってみた。


中では浪士たちがドンチャン騒ぎ
あの憎い男はいないみたいだ。


「次の会合は、池田屋にしたほうが
良さそうだな」



池田屋?…しかも宴会ではなく
会合。 …これだ。


「おいそこの女、何してやがる」

後ろから声をかけられた、ヤバい
話を聞くのに全然気付かなかった

恐る恐る振り返ると赤ら顔の
気の強そうな男が立っていた


『あ、すいません あの』

どうやって言い訳をしようか迷っていると 男が 赤い顔のまま じいいぃーー…
と、私の顔を見つめた。


「女」 『はい…』


呼びかけられて 心臓がドキリ、と
跳ね上がる。


「来い」 『え!』


腕をつかまれ、強引に私は広間に連れ込まれって行った。まさか、浪士たちの
座敷に出ることになるなんて…

うんざりしながら床に座ると男が横に
胡座をかいて座った。


「酒の酌をしろ」 『はい』

言われるがまま、とぽとぽと酒を
赤い器に注いでやると 男は
それを飲み干した。


「名前は?…お前は花魁か?
水揚げはされているか?」


花魁?って位の高い遊女のコトだよね
…水揚げってなんだろう?


『あー…鈴、です
水揚げは…してます?』

わからないが、知ったかぶりをしておこう。 きっと悪いようには転ばない。

「そう、か」


男は目に見えるように落胆した。
そんな重要なことなの?それ…


「1人だけで飲んでいてもつまらないな…お前も飲め」 『あ、私 飲めなくて』
「いいから飲め」



しつこい。と思いながら酒を飲んで絡んでくる男蔑む目で見る。


『厠行って参ります』

永遠にさようなら、と心の中で呟きながら 座敷を出た。



そして 誰もいない部屋に入り
新選組の屯所へ手紙を出す。



すると、すぐに返事は返ってきた
すぐ行く、と綺麗な文字で書かれた
それは 土方のものだと なんとなく
分かった。