夜になると島原には 高張提灯に
火が灯る 見世出しの縁起棚の鈴
が鳴り、通りは俄かに活気付く。
私は6日間 天月亭で潜入していた。
まだ、悪い話や情報はない。
そろそろ、日がくれて暗くなった頃
天月亭の座敷には 団体の客が多数
来ているようだった。
もしかしたら、その中に私の探している男や 悪い話をしている人たちがいるかもしれない。
そう思って私は、廊下を出て様子を伺うことにした。 廊下に出ると大広間
で宴会を開いている 客の声が聞こえてくる。
私は部屋の中にいる人達に気づかれないように襖を細く開けて 耳を立てた
「しかし、この店には新選組の幹部どもも頻繁に現れると聞きましたが
祇園のほうに出かけたほうがよかったのでは?」
「知ったことか、幕府の犬など
恐るるにたらん 目に物見せてくれるわ」
いやー…その、いるんですけどね
ココに…新撰組の人。