☆*:星降る夜に鈴の音.:*☆誠の華



なぜか私は見慣れない部屋に
立っていた。

なぜこんなところに…?私は寝ていたはずなんだけど。


部屋は暗くて、埃っぽくて
血が ぶち撒かれたように 赤い模様を
畳いっぱいに描かれている。


はっ、として自分の手を見るとそこには血を浴びて真っ赤に濡れた十六夜が
握られていた。



部屋の中には 人斬りの時によく嗅いだ
頭がクラクラするような血の匂いが
充満している。




少し驚いていると、薄汚れた暗い部屋の中で人の気配を感じた。


身構えて 闇に隠れる2人の姿を
睨みつける すると 窓から 妖しい
月明かりが 差し込み 部屋の奥に入る
2人を照らした。



『なっ…』



月明かりが照らしたのは
血を吐いたのか 口元を真っ赤に
汚してうずくまっている総司と。



総司を守るように、いや かばうように
膝を床に降ろし 私に背を向けている

背中に 刀傷のある 土方。
その刀傷からじわじわと血が滲んで
背中が赤く侵食されていく。


私が土方を斬った? …そんなはずない

私はそんなことしない。


居心地の良い新選組を潰すようなことはしない、じゃあ どうして私は
血に濡れた十六夜を握っているの。


どうして、どうして、どうして


何度考えても 考えが浮かんでこない
1分1秒が長い。


混乱していると 自分の頰に
涙が流れる。 嫌だ 嫌だ




認めない。私は新選組を裏切ってなんかいない。