「なるほど…話しは分かった
報告ご苦労、鈴君」
近藤さんに褒められて 美夜みたいな
心のしっぽをブンブン振ってしまう
だって嬉しいんだもん、しょうがない‼︎
「俺たちも、胡散臭い連中が島原界隈をうろうろしてるって話をつかんでた
…ただ島原場所の性質上どうしても御用改めしにくくてな」
『なんで?』
首をかしげると 土方は軽くため息をついて 説明してくれた。
「…証拠もねぇのに 怪しい客
片っ端から捕まえるわけにもいかねぇだろ」
『あ、そっか』
ヘラリ、と笑うと総司がお団子を
食べながら言った。
「どうするか方法を 今 俺たちが考えてるんだけどねー」
「お前はほとんど考えていないだろう」
斉藤さんにツッコミを入れられて
総司が口を尖らせると近藤さんが
ため息をついた。
「まったく…どうしたものか
新選組には島原に潜入できる女性
などいないだろう」
「何言ってんだよ 近藤さん、目の前にいるじゃねえか…今回ぐらいしか役に立たねぇ奴が」
それは一体誰のことだろうか?
と、私がキョロキョロしていると
土方が 呆れたように私を指差した
「てめぇだ、鈴」 『えっ、私か⁉︎』
「ちょ、ちょっと待て トシ」
「なんだよ」
近藤さんが慌てて 私を見て言った
「嫁入り前の若い女性に、そんなことさせるわけには…」
「…その方法が一番確実なんだよ
第一 コイツを嫁にもらう奴がいんのか?」
『なんか、失礼なこと言われてる
気が…』「鈴は俺がお嫁にもらってあげようか?毎日イジメてあげるよ?」
『断る』
総司をざっくり斬り落として 私は凛、
と前を向く
『だが、土方が言うように私が潜入するのが1番簡単ならば潜入してやろう。』
「でも、酔ったおじさんばっかなんだぜ⁉︎鈴…」
平助が心配そうに 私に言うので
土方が ふん、と鼻で笑った
「コイツがそんなの気にする女か?
じゃぁなんだ、お前が女装でもして潜入するのか」
「いいじゃない、平助 やってみれば?」
「勘弁してくれよ!総司 土方さんも‼︎」
「似合うと思うぜ」「ああ!」
「左之さんたちまで!」
平助が頭を抱えて あ″ー‼︎と唸る
のを ケラケラ笑いながら見ていると
土方が まあ、なんだ。と話しを
戻した。
「テメェが心配しなくても、後始末は
全部俺たちがやる 情報を聞いてきて俺たちに伝えるだけで良い わかったか?鈴…頼んだぞ」
土方が 私を見ながらはっきりと言った
土方が怒らずに 私にこんなに物を頼むのは初めてだったので
不覚にもその 凛とした表情の土方に
どき、と胸が音を立てた。
『ま、まかせろ!近藤さんが困って
るんだ…やり遂げてやる』
「おし、いい心構えだ。 早速
舞妓に連絡を取って 島原に潜入
しろ。」 『おう』
こくり、と頷くと総司や平助たちが
かんばれー、とか 油断しないようにね
だとか 言ってくれた。
この仕事、やり遂げてやる。
私は ぎゅ、と刀の柄を握って
廊下に鈴の音を響かせながら
急いで杏里ちゃんに連絡を取りに
行った。

