川のよく見える綺麗な甘味屋に
杏里ちゃんが 縁台に座ったので私も
横に座った。
当たり障りのない世間話をして
桜餅をご馳走になっていると 杏里ちゃんが 興味津々といった感じで 私を
眺めた。
『どうしたの?』
「あ、相変わらず綺麗な顔やなぁ…て
思って…見られるの嫌どすか?」
『いや…いいけどさ』
私の顔が綺麗…かぁ。杏里ちゃんも
相当かわいいけどなー。
と思っていると 杏里が口を開いた
「鈴さんって…京生まれやないよね?
新撰組になんで入ったんどすか?
凄く綺麗やのに。」
『それは…』
彼女に話していいものか、と悩んでしまった。 いつもは人懐っこい私でも 元人斬りだ、疑り深いのは性分である。
…そんな私の戸惑いでも見抜いたのか
杏里ちゃんが気遣わしげに手をふった
「嫌やったら 言わんでもいいんどす、
すんまへん…」
『あ、嫌ってゆうか』
…大丈夫だよね。人斬りだったこと
話さなかったらいいし と私は杏里ちゃん
を見つめた。
『…聞いてくれる?凄く長いから』
「はいっ 大丈夫どす!」
ーーー
私は 杏里ちゃんに京に来た経緯を
話した。
両親を殺されて心を無くした私は1人で旅をした、と。
京についたとたん新撰組に腕を認め
られて無理やり入れられた、と。
それでも それなりに気にいっている、と
新撰組のみんなは いい奴らで
凄く居心地がいい、と。
ーーー
「そういうことだったんどすか…鈴さん私と同い年ぐらいやのに苦労してるん
どすね…」
『………』
杏里ちゃんの言葉に無言で私はうなづく
やがて 彼女は気遣わしげに
「あの…鈴さん」 『…ん?』

