厳しい暑さの夏が 京にやってきた。
鈴は今日 総司率いる1番組とともに
京の街を巡回している、みんな汗をかいているが何故か鈴だけが羽織を着ていてもケロリとしていた。
しばらく 道を巡回していると
だんだら模様の羽織を身に付けた私たちに臆するすることなく駆け寄ってくる人影が鈴の前で止まった。
「鈴さん!こんにちは!」
『あ、君は…』
目の前に居たのは 初めての巡回の時
浪士に絡まれていたのを助けた…
杏里ちゃんだ。
『久しぶりだね、杏里ちゃん あの後から路地は行ってないよね?』
「へえ 勿論行っておりまへん 」
ニコニコ 向日葵のように杏里ちゃんが
笑うと私の横の総司が 杏里ちゃんを
凝視した。
「あれ、誰 その子 知り合い?」
『まあな 少し。』
「前に、浪士に絡まれていたところ
を助けてもらったんどす」
ふぅん、と総司が気の無い返事を
すると 杏里ちゃんは再び私の方を見て
言った。
「鈴さん よかったら前のお詫びで
甘味屋に行きまへんか?ご馳走さしておくれやす…あと、話もしたいんどす」
甘味屋かぁ…行きたいなあ。
巡察も飽きたし、暑いし(汗かいてない
ご馳走になろうかな?
チラリ、と総司を見ると 総司が目を
細めて やがて言った
「行ってもいいけど、門限までには
帰ってきなよ?」
『すまんな、了解』
言うと総司は 私に背を向けて隊士たち
と共に歩いて行った。
「ほな、いきまひょうか 鈴さん」
『うん』
笑顔で歩いて行く杏里ちゃんの
横についていって 私たちは甘味屋まで
歩いて行った。

