「り、鈴は止めといた方がいいよ!何されるか分からないし!」
『そんな馬鹿な、私が眠気眼の総司に負けるわけ無いだろ?』
全力で止めようとする 平助に
笑いかけると …そーじゃなくて
と、モゴモゴ 言葉を濁した
『大丈夫‼︎私が行って叩き起こして来るから』
美夜を平助に預けて
私は総司の部屋の真ん前で止まって
息を吸い込んだ
『っ… 空から団子が
降ってきたぞォオオオオオオッ』
しーん…
『くそう、起きると思ったのに。』
ブツブツ言いながら私は
部屋の襖を勢いよく開け、 1人で踏み込み 部屋の隅で寝ている沖田の布団を
蹴った。
ドカッ
総司はまだ起きない
ガンッ
布団の上から蹴るのがいけないのかな
『おい、起きろ』
枕元に近づいて
布団に手を掛けようと手を
伸ばすと。
ガシッ
『なッ…⁉︎』
布団から自分よりもひとまわりも
大きくて 日に焼けた手にがっしりと
手首を鷲掴みにされた。
ゾッ、と 身の危険を感じて後ろに
下がろうとするが 恐ろしい程の力が
手首にかかる
『いたっ…』
みしっ…と骨の軋む音がする程
掴まれて 思わず痛みが口に出てしまっ
た。そして…
衣擦れの音が部屋に響いて、物凄い力で
グイッ、と引き寄せられた
『っ…⁉︎』
布団の中に引きずりこまれ、
恐る恐る、暗い布団と中で目を開けると
…吐息がかかりそうなほど
近くに総司の顔があった。
途端に 心臓が壊れそうになるほど
ドキドキと鳴って 顔が真っ赤に
染まる
布団から脱出しようにも、腰に総司の
両腕が絡んできているのでまともに
身動きがとれない
「…ねぇ」
耳に吐息を交えながら喋り掛けられれ
ビクッ と体が竦んだ
「俺を起こしに来るの…今日は左之さんだよね」
『あ…い…ッ』
「…鈴が起こしに来るのは嬉しいけど
もっとさ、いい起こし方してよ」
低い、唸るような総司の声
目を見ると 最高に不機嫌そうな
総司の目 …すわっている…目が…
「鈴のせいで、今日一日中最悪な
気分になりそうなんだけど。」
『す、すまん』
「すまん、で済んだら 新撰組いらない
だからさ…
鈴が責任とって、最高の目覚めに
してよね」
『ぎゃああああっ…ムグッ ん…』
「五月蝿い」
総司にのしかかられて抱き枕
状態、叫ぼうとすると口を手で塞がれた
そして私を抱き枕にしながら
寝息を立て始めた
腕にはあり得ない力が入れられていて
脱出の可能性は絶望的。
…だれか…
たすけて… 泣

