「おぉ?何を言いあってるんだ?
トシ、鈴君。」
近藤さんが 広場の戸を開けて
ニカッ、と笑った
『こ、近藤さん‼︎』
神様が来た‼︎ この人に頼めば
飼わしてくれるだろう!
「お、可愛らしい猫じゃないか」
『でしょ⁉︎近藤さん!』
パァッ と 笑顔を見せて 猫をキュウっ
と抱きしめた。
「鈴、早く そいつを…」
土方が 説教する顔になりきる前に
上ずった声で 近藤さんに言う
『あの、この子を屯所で飼いたいん
です‼︎ お願いですっ…』
「おお、いいぞ それでは名を…」
「おいっ⁉︎近藤さん‼︎」
土方が慌てたように非難すると
近藤さんが はっはっはっ。
と、笑い出した
「俺は 動物が好きでな! トシも知ってるだろう?」
「だがっ…」
「どれ、抱かしてくれないか」
近藤さんの手に 猫を乗せる
ぐるぐる、と気持ち良さそうに
子猫がまどろんだ。
「はあ…」
土方はため息をついて 近藤さんを
苦笑しながら見た。
まったくこの人は…と言う顔で
「ほら、トシ」
「あ? お、おいっ」
近藤さんが 子猫を土方の胸に
抱かせた、とっさに土方は両手で包み込むと猫は にゃーん。 と、鳴きながら
ぺろぺろと土方の指先を舐めた
「…っ。」
「トシは確か猫が好きだったなあ」
近藤さんが 土方の過去を暴露すると
周りの人が吹き出した。
に…似合わねえ‼︎ 最強に似合わねー‼︎
土方は顔を 真っ赤にしながら
羞恥に耐えているようで 肩が
震えている。
『まあ…とにかく?猫みんな好きみたいだし、名前何にしようか』
「タマは?」 「白はどうだ」
「ミーコ、はどうだ‼︎」
「団子は?」 「なんでだよ…」
「誠はどうた!男らしいだろう」
「近藤さんよ…コイツは女だぜ」
「む? そ、そうだったか 失礼した」
なんか、おかしいのもあったけど
みんな考えてくれている
『美夜がいい、美しい夜。』
月を見ながら私が言うと、
みんなが 私を見つめた。 風が
髪を揺らして 鈴が チリン、と
鳴った。
「い、いいな!」 「うん!綺麗」
「…たく、ちゃんと世話するんだぞ」
『わかってるよ!副長様!』
元気よく言うと土方が はあ、と
ため息をつく。
「都合のいい時だけ いい返事
しやがって」
『あはは よし!美夜!一緒に
お風呂入ろーね!』
「…ちゃんと毛は気をつけろよ?」
『おう!みんなが入った後入るから
あ、総司 見張り頼んでいい?』
変な輩が入ってきたら 殺し…
じゃなくて困るので総司に
見張りを頼む。
「んー?いいの? 俺男なのに」
『背に腹は変えられんからな!』

