☆*:星降る夜に鈴の音.:*☆誠の華

沖田は辺りを見渡し

何かに気づいたようだ


「どうした、総司」


沖田は大きな桜に指をむけながら のぞきこむような顔をした


「土方さん…彼処に人が…」



沖田の指さしたほうを見た、桜の木だ。



「何もねえじゃねえか」


立っているのは桜の木だけだ
何かがあるとも思えないほど繚乱
と空を美しく 飾る桜吹雪。



すると沖田が黒く笑いながら

「土方さん、目ぇ腐りましたか?桜の上ですよ、上。」



「なっ…テメェ」


殺意を持ちながら桜の上を見た
確かに人が木の股に座り込んで
スッポリと入っている。



…だが、寝ているようだ



木に近寄りながら目をこらした。



服には血がべっとり付いている

着物の袖から 細くて白い手が伸びて
いて、その手から赤い雫が
一滴、また 一滴と垂れていた。