ガチャーンッ‼︎‼︎ と刀と刀がぶつかり合う音が 中庭に響いた。
ギリギリと土方は刀を震わせて私の間合いに足を踏み入れて 眉をひそめながら苦笑した。
「よく 受け止めたな…ッ」
『なめるなよ、土方』
憎まれ口を叩くが 間合いに踏み入れられた足が 邪魔だ 人に久しぶりにこうして
間合いに踏み込まれて 鈴はすこし
驚いていた それにすごい力
ガチャッ
力任せに跳ね返されて もう少しで
横にふっとばされていた。
私の得意な技は 速さが命
こいつも 速くて何より力が私の
上だ。
面倒くさいな、コイツ
また、刀の刃を合わせていると
土方がニヤリと挑発するように
笑った
「…そんなもんか」
『ハア?』
ブチ。
堪忍袋の尾が切れた
『…は? そんなもん…?
馬鹿じゃない? 私はあんたより…』
あ”? と睨んでくる土方の腹に蹴りを食らわして吹っ飛ばす
「ぐふっ…! てめっ」
ザリザリッと 土方が後ろに引いて
私を 見つめた
「てめぇ… ほんとに女かよ…」
『さあね』
あまり周囲に聴こえない程度に
土方が呻いた。 私はすこし息
を切らしながら 刀を構え直す
『あんたこそ、私の力によく耐えれるね馬鹿力ッ 鬼みたい』
そう言い残して私はくるりと
土方に背を向けて走り出した
「あっ てめ 待てッ」
庭で土方と追いかけっこをしていると
やがて ジリジリと 逃げにくくされた
「もう…観念しやがれ」
『誰が…するかっ…はあっ』
二人ともが馬鹿みたいに 息を切らして
やがて池の横に追いやられた
『ぬぅ…』
「フンっ… そらッッ‼︎」
土方が峰打で私を叩こうとした
それを 華麗に私が受け流せ…
『のわああああぁッ』
ドボーーーーッン‼︎‼︎‼︎
なかった… 場所が悪くて石に足を引っ掛け 鯉のいる池に盛大な飛沫が上がった
「大丈夫かー」
明らか心配してない棒読みの土方の
声が上からする
水が滴る前髪を振り切って
池から立ち上がった
『大丈夫なわけ ないだろうがッ クソ…』
池に思いっきり頭から突っ込んだから
頭がイタイ。ていうか…いくら暖かい春でも…
『寒いッ』
「バーカ、自業自得だ 早く出ろ
温泉じゃあるめえし」
ぐい、と土方に体を持ち上げられて地面に降ろして貰う前に手を跳ね除けた
『冷たい』
「てめぇが悪いんだろうが、もう変な事すんじゃねぇ。 …悪かったな」
土方が渋い顔して 私の頭を コン、と
小突いて プイと横に向いてしまった
一応謝ってくれたがムカつくな、
声が小さい

