☆*:星降る夜に鈴の音.:*☆誠の華

「…いや、俺が連れて行く。てめえは何するかわからねぇからな」



えー、と総司が唸り声を上げた。



「しませんよ、土方さん」


と笑いながら目が笑ってねえ、渡せってことかそんな目をしたやつに女を預けてもしょうがない。



「アホか、顔に書いてあんだよ。」



ひょいっと鈴を背中におぶった



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春なのに今日は涼しかったが、背中だけは温かかった。背負った重みはあまり感じなくて、温かさと鈴の音が耳に聞こえた




首の骨を抜かれたように鈴は土方の肩に頭を落としておぶわれてる



すると、耳もとで鈴の寝言がきこえた。




お母さん。お父さん
会いたいょ…



切れ切れの言葉が聞こえてきた。確かこいつは長州に両親を殺されたのだったな…

無心に鈴をおぶって歩く




耳に心地よい鈴の音がする。



そこへそれは不意打ちに鈴が呟いた




……土、方



一瞬足が動かなくなった

無防備な声呟かれたのは確かに自分の名前…



起きているかと疑ったが鈴を窺ったが 鈴はやはり寝顔だ。




…心臓に悪い、
そんな声で俺を呼ぶんじゃねえ。





土方…土方ぁ…




「うっせえよ、鈴」




目を覚ますことを期待して寝言に返事。



だがもっと悪くなった





『いた、のか。』


呟いた鈴は、土方の肩にぶら下げた両腕を首に絡めた。



「なんだ、起きてんのかじゃあ歩きやがれ」



しかし肩越しに見るとやはり寝顔だ。




嫌。 と呟いた鈴に苦笑
寝てても解るのかよ…



廊下はとても長い。
こんなに長かったっけと思う。 首に回された腕は少し力を入れると折れてしまうんじゃないか と思うくらい細い。




鈴の髪は高く上にくくっているが横髪はくくっておらず、顔に触れる