『い、いや 副長殿 聞いた?私の話聞いた? 怖いから』
「だから背中乗れって言ってんだろ
そうすりゃ進めるだろ」
ポカン、としながら背中を見ていると
土方が面倒くさそうに答えた。
『どうしてそうなる。』
「ずっと耳に手、あててればいいんだろ。」
だから、ほら。
と、また広い背中は私を待ってる。
『……うー』「風邪ひくぜ?早く帰んねえと」
確かに言われてみればそうだ。
2人ともびしょ濡れだし だけど雷はずっと鳴ってるし…。 ええい。
『…どうにでも、なれ…っ』
耳に手を当てながら 土方の背中に
しがみつく(?)と ぎゅ、と手を
回されて ヒョイ、と持ち上げられた
ふわ、と香る いつか嗅いだことのある
匂い。 濡れた横顔が なんだか色気を帯びて 知らない人みたい。
「行くぞ。 耳、してろよ」
『…っ おうッ!』
言った瞬間 土方は橋の下から出て
雨空の下を私を担ぎながらでも早い
足取りだった。
『 …ーっ…』
雷が 鳴ってもなぜだか あまり
恐怖を感じ無かった。
「大丈夫か⁉︎」『う、ん』
土方が道を走りながら 大きい声で
言ったのを ギュッ、と背中にしがみついて目をつぶる 雨が降ってるのに体が熱い。
『…土方、たすけてくれて…ありがと』
「あ”? なんか言ったか⁉︎」
『…ううん。なんにも。』

