☆*:星降る夜に鈴の音.:*☆誠の華


『…ぅ…』



鈴は 暗い場所で 座り込みながら
目を開けた



『…っ!』




空に響く雷鳴に怯えながら
鈴は耳にギュッ、と手を押し付けた



『たすけて…』





怖い







だれか、たすけて








『…ッ…』






私は幼い頃から 雷が嫌いだった

必ず嵐が来ると襖の中に身を潜めて
震えながら嵐が去るのを待っていた



今は外だ、それに赤い橋の下。
川はもう少しで溢れそうになっていた
それでも光が届かないくらいところにいなければ。




『…たすけて…』




情けないと自分でも思う
人斬り鈴狐と呼ばれた自分がこんな
弱々しい姿など、誰かに見られた日には崖から身を投げ出したいところだ。




耳を塞ぎながら目を固く閉じ
私はいろんなことを考えた




誰か助けに来てくれないだろうか





誰か。






その時
ふと頭の中で浮かんだ顔があった。




鬼みたいに怒りっぽくて、腹黒で、
仕事虫で。






そばにいるとこれ以上にない位
頼もしく思える男。






『たすけて…ひじかた…』












呟いた瞬間。






土手から降りてくる音が聞こえた






「はぁ……やっと、見つけた…」




低い低い、心地よい声が 近くで
しゃがみこんだ。


恐る恐る顔を上げると、見慣れた。
いや、雨にびしょ濡れになった
先ほど口に出した男だった。




『土方ぁッ‼︎』



思わずその広い胸にしがみつくと
深いため息が上で聞こえた



「…全然姿が見当たらねぇ思ったら…こんなとこにいやがったのか?…道の上を探してた俺がバカだった…。」