部屋に入ると 美夜が部屋の真ん中に
人の姿で座っていた
私は 暗い部屋の中で 手をギリギリと
握りながら 声を出した
『美夜… 出来るなら、さ…お願いがあるんだ』
「はい…聞こえました。 …平助様を
救いたいのですね? ふふふ…この
美夜めにおまかせください」
美夜は美しい笑みを浮かべると
たいそう嬉しそうに立ち上がり
キュッ と前を向いた
「私は主人のためいる身 いつもの恩返しを果たすため少し、お時間を下さいまし」
『う、うんッお願い!』
美夜が猫の姿になり、部屋を出て
しばらく経つと 人型の形で
もどってきた
「では、平助様のお部屋に参りましょう」
『すまんな…美夜。ところでそれは?』
美夜の白い手には竹で出来たカゴ
その中にはなんとも美しい七色の
蝶が 光を放ちながらハタハタと
中で羽を羽ばたかせていた。
「私の世では 傷を癒すためにこの
蝶が良いのです、光蝶と言います」
『へえ…』
美夜は ふわっ と笑いながら 平助の
部屋に入ると カゴから蝶を出した
部屋は暗いのに ひらひらと光を
放つ蝶が舞っている
『平助…』
苦痛に歪んだ平助の顔を見ながら
枕元に座ると 美夜は その蝶をそっと
両手で 捕らえた
そして
「ごめんなさい…」
そう呟くと 蝶を美夜が 羽をもいだ
『あっ…⁉︎』
ブチ、と羽をもがれた蝶は光を
失った。その代わり美夜の指に
キラキラと光る液が付いた
『み、美夜』「大丈夫でございます…いいのです。」
美夜が 悲しそうにしたが キラキラと
光る液を平助の背中に塗り込んだ
『大切な、蝶だったんじゃないの…?
』
「…私の弟が よくこの蝶と遊んでいたので。」
『⁉︎…い、いいの⁉︎…』
そんな大事なものなのに、と美夜
を見つめると 美夜はコクリと頷く
七色の液が 平助の深い傷に入り込むと
しゅうぅぅ…!と、焼けるような
音を出した
『…傷がっ…』
すると、傷がみるみるうちに塞がって
いく 私は目を見開きながらその様子を
凝視していると 美夜が 満足そうに
頷いた
「これで、平助様は大丈夫でこざいます、後は傷が塞がるのを待つだけでございます」
『ありがとう…っ…恩に着る』
頭を下げながら 平助の顔を見ると
幾分安らかに眠っている
『平助、これで大丈夫だ。
…よかった…美夜が治せて…』
「はい、お困りのことがあれば…なんなりと。」
美夜は スルリと廊下に出ると 猫の
姿に変わって私の膝に乗り込んだ
『ありがとう…美夜。』
私は 美夜を撫でながら 感謝
しながら 安堵のため息を吐いた

