「伊東甲子太郎…。濡れ衣を着せた
挙句、近藤さんの命までを狙ってると
きた」
みんなの視線を受けながら
土方はまるで独り言のように
かつて同士で会った人の名前を
口に出した。
…鬼の副長。その名前がふさわしい
淡々とした 怜悧な声音で。
「伊東さんには、死んでもらう」
「…う、む…止むを得まい…」
土方の言葉に 局長の近藤さんが
認めてしまった。
それは新選組総力で、伊東さんを
始末するということを意味している。
これで伊東甲子太郎
元新選組参謀は…暗殺されるのだ。
「まず、伊東を近藤さんの
別宅に呼び出す 接待には俺も回る
その後、伊東の始末して呼び寄せた
御陵衛士の連中を…斬る
実行隊は、新八 左之 鈴 総司に
頼む」
『………。』
接待じゃなく暗殺、というピッタリ
の仕事を任されて 気を引き締めて
いると 肩を誰かにたたかれ
横を見ると 斎藤さんが 静かに
言った。
「御陵衛士は、これで終わる
平助を呼び戻すつもりなら
これが最後だ。」
『…っ』
私は 息を飲んだ
伊東を殺して御陵衛士を呼び出すんならその中に平助もいるはず。
きっと斬り合いになる。
『土方…平助はどうするんだ』
聞くと 新八と原田が声をそろえる
「そりゃ、助けて…」
「刃向かうようなら、斬れ」
土方の 声が地を這うように低く
唸った。
『…歯向かうようなら…
ってことは 説得すれば新選組に帰ってきてもいいんだな。』
武士に二言は無いな?と言うように
鈴が下から睨みつけると 土方は
無言で 立ち上がり 部屋を出た
『必ず、平助を連れ戻そう』
「ああ」「やってみる」
「帰ってこればいい、けどね」
三人が 自分自身の言葉を出す
敵を、新選組の敵を
討ち果たす時が来た
平助は返してもらうよ
伊東さん。

