☆*:星降る夜に鈴の音.:*☆誠の華


私はその1週間後 ようやく2人と話す決心がついた どうやら2人はもう行くようで 境内で会っていた。

『平助、斎藤さん』

呼びかけて2人の元に駆け寄る

「はは…やっぱ捕まったか」

平助が辛そうに微笑んだ。

『きちんと、お前たちの心を知りたかった』

「…そうか…俺もちゃんと鈴と話したいと思ってたからさ」

私はすっかり咲いた桜を見上げた
満開だ。まるで初めて会った日の
桜のように。



「…話があるならば、早く
済ませてくれ」

斎藤さんが 言った。

聞きたいのはもちろん、どうして新選組を離れて伊藤さんについていくのかっていう事。


『お前たちが新選組をどうした離れることにしたのか…それが聞きたい』


私は一切笑顔を浮かべなかった
顔を緩めてしまうと 涙が零れ
そうだったから。

「理由かぁ……うーん」


平助屋少し困ったような顔で
私を見つめた。桜が ふわふわと
落ちて それが積もっていく。

「伊藤さんはそもそも同じ流派の先輩だし…あの人は新選組に入ったのは
俺が誘ったのがきっかけだったし…だから一緒に行動する義務があるんじゃないか、ってそう思ったんだ。やっぱり可愛がってくれた先輩だし…はい、そうですかって終われねえんだ。」


平助はとても優しいから
伊東さんを見放せなかったんだろう。

『そのためにみんなと離れて…
このまま会えなくなるかも
しれないのに、か?』

無表情で聞くと 平助は答えた

「確かに俺もちょっと動揺してるんだけど…もともと俺は尊王攘夷だし、俺幕府の組織って言うんじゃなくて御陵衛士の方が合ってる気がするんだ」


『……。』

攘夷と言う点では同じでも
近藤さん達とは違う。平助が言いたいのはそういうことなんだろう

言葉を失った私に対して
平助は戸惑いまじりに続けた

「…俺だって本当は、みんなとずっと
馬鹿騒ぎしたかったさ…。
今までずっと一緒だったからな」

平助の瞳はどこか遠くを見つめていた
その横顔はとても寂しそうだけれど
心の整理をつけたような表情。

『…斎藤さんは』


平助の思いをすくい取って。私は
斉藤さんを見る。


「自らの志に、問うて 伊東派に
属することにした」


『…ふぅん?』


平助はまだわかる。けれども
斉藤さんは?私は斎藤の心理がつかめずにいた。


「近藤さんや土方さんは間違っている
今のまま攘夷を幕府に任すことができない」

『間違っているから、もう会えなくてもいいのか?』


私は疑いながらも聞いた。
斉藤さんはあっさりとうなずいた

「志の前には、新選組との情も
斬り捨てるつもりだ」

『つまり斉藤さんは私たちの敵になるということ?』

「…鈴」

平助が止めたが 私は人斬りの顔で2人を睨み付けた。


『そういうことなんでしょう?
…御託はいいから、さっさと言いなよ』

そうしてもらわないと…私はこの人たちと戦えない。


『どうなんだ?』


私は 冷たく言った。

「…俺は何のためらいもなく…勤めであれば…斬る」

『そうか………。 お前たちはもう
仲間じゃない、のか』


私は、ここで 初めて笑った。


泣き笑いのような、顔。


『お前たちは、変わったな。
…と、言っても一年だが…』




小さく、私は言った。
変わらずにいて欲しい…喉につっかかるこの言葉。言ってはいけない。
もう私たちは仲良しこよしじゃないのだ





『私は、変わらないものを信じるね』


チリン、と鈴が悲しそうに鳴いた

『それじゃあ、ね。また会うときは
強くなってね?期待してるから…
容赦はしない。』


鈴は 一粒の涙を零して
去っていった。 桜が 風に吹かれて
散っていく。



「鈴…」

平助が悲しそうにつぶやいた
次に会う時は、鈴は容赦はせず
浪士たちを殺めるように
自分たちに襲いかかってくる
だろう。 志のために。




「平助、行くぞ」


斎藤が呼びかけると平助は
名残惜しそうに桜を眺めると
歩みを進めた。