「ニギャッ…っ」
女は 飛び下がって こちらを見つめた
もう引き下がれない 私は刀を素早く
抜き 女に掴み掛かった
『やあぁああッッ』
思いっきり振りかぶり 切り掛かると
避けらた。恐ろしく身体能力が高い
「す、すみませ…」『てゃあああっ』
首元に何度も何度もツキを繰り返すが
床を刺すだけだ。女は私の下からすり抜けた 息をきらしながら立ち上がると
「か、勘弁してください…主人っ」
女の人がぽろぽろと涙を流していった
私が ぽかん、としていると 土方が
私を後ろに引いた。
「安易に近づくな」『あ、スマン』
ハッ、として相手をよく見る
青い目玉はキラキラと光って
よく見ると 暗闇の中でも
分かる …頭のてっぺんになにか
生えている。
「主人、私ですよ私。」
『…いや…あんたのことよく見えないんだけど』
と、言うと女は あぁ、そうですよね。
と言って 提灯のようなものに火をつけた。
「おおーい‼︎鈴ッ」「鈴ーっ」
向こうから平助達の声がして
勝手場に入ってきた。当然
女が灯りをつけてゆらり、と
いたのだ。それに怖かったのか
近藤さんも起こしていたので…
「ぎゃあああああああ⁉︎⁉︎」
「化け物だあああああっ」
阿鼻叫喚。特にバカ三人組。
『黙れよ、お前らああああッ
黙って話聞け。』
逃げ惑う奴らに 一喝すると
みんながピタ、と止まった。
私は再び 女を見る。
提灯の灯りに照らされる女は…
まだ13や14の少女だった。
可愛らしい 顔、青い目をくりくりと
してこちらを見ている。
髪は 雪のように白くて 胸のあたり
まで伸びていて 首には勾玉のような
目の色と同じ青い石。服は白と赤の
巫女の人がよく着ているようなやつ。
それに 頭のてっぺんにピコン、と
立っているものは 猫の白い耳のようだった、後ろにも白い尾が揺れている。
妖怪、だ。
『え、ええっと。どちら様?』
聞くと 少女は深々とお辞儀して
品のある 笑顔で言った。
「主人、美夜でございます。
あなた様に助けていただき、現在
屯所に置いてもらっている」
『…私の美夜は…人間じゃない。』
「はい、人間ではありません
妖怪であり、あなた様の飼い猫です」
少女は 歩き出して 私たちに近づくと
私の両手を握った。
『主人、お呼びしてくださって
美夜は感無量、猫冥利につきます。
やっと 人型の姿になれました
ありがとうございます。』
「…えー……」
私が、本当に?と言うような顔を
すると 美夜が ふわっ、と笑った
「私は美夜ですよ」
『…仮にそうだとするとどうして人間になったの?』
「何を仰いますか、怪談話
をして…ろうそくを100本消して
くださったでしょう?…みなさま
もありがとうございます」
あ、ああ。とみんなが驚きながら
頷いた 美夜(?)は嬉しそうに
尾を振る。
「…美夜、お前 なんの妖怪だ」
「猫又です。ですが私は
妖力が高いので ほぼ神獣に近い
ものです。」
土方が問うと 美夜が答えたのは
ものすごいこと。
『し、神獣⁉︎神様っ⁉︎』
「そう思っていただいて構いません」
美夜は 優雅に微笑んで
私に 提灯をもたせた。
「証拠をお見せしましょう」
美夜は そう言うと 廊下に出て行った
そして帰ってきたのは 猫の美夜。
『う、うわああっ…本当に本当なんだ』
おいで、と言うと 美夜が また廊下に
出て 人型の姿で帰ってきた
「これで信じていただけたでしょうか?主人。」
『うんっ…』「わあ…」「すげー」
みんながまじましと美夜を見つめて
口々に へー… とか ふむ…とか
つぶやいた。
「私はあなた達の助けになりたいのです正確に言えば主人の 、ですが…
主人が命令していただければ私は仕事をこなせますよ」
「…にしても、妖怪だったとは…」
土方がわけわかんねえ…と言いつつ
頭をおさえた。
「…このことは新選組幹部以外
他言無用でお願いします。私を
捕まえようとする人もいますから」
『うん、それは分かった』
頷いて 美夜の頭を撫でると
美夜は気持ちよさそうに 尾を振り
耳をピコピコ動かした
「ありがとうございます…あ、
皆さんもいつもなでていただいてありがとうございます…特に土方様は良くしていただきました」
『あ、やっぱり?』「…。」
土方がそっぽを向いて 眉をひそめた
きっと見えない顔は 赤く染まってる
はず。だから周りの幹部が数人
吹き出した。
『何か妖怪ってできるの?』
「はい、いろいろできますよ。
人間界では作れない薬を作ったりとか
あと、耳が私はすごく良くて…遠くの
会話でも 集中すれば聞こえます」
「それは 凄いな」
近藤さんが関心して 頷いている
土方も それは使えそうだ、と
腕組みをしながら話を聞いた。

