☆*:星降る夜に鈴の音.:*☆誠の華


私は 大きな森の家に住んでいた
ひっそりとしていたけれど とても
住み心地は良かった。

私はそこで両親に愛され、支えられ
育てられた。


お父さんは、武士でありながら凄い刀を
打てる人だった。 伝説の刀鍛冶
と呼ばれてた人だったな、それに
武士だから強かったしね。


お母さんは、美しい人だった。
ま、花魁だったからなー たしか
吉原に居て 父に身請けされたん
だよ。

二人は二人とも一目惚れ
だったよ。え?名前?青蘭だけど。
え、青蘭に娘がいたのか?…うん
つか、私だし。うるせえぞ土方
喚くな。


え?子供の時の私?
たしか…近所の子とは遊ばなかった
みんな私を遠目から見て 私が
近づくと逃げていく。狐だ、とか
言われたな。なんで言われたか?

…さあな、知らない。私は別に
変わったトコは無かったんだが
ん、顔?うん 母さん似だよ。子供
の時からよく似てた。
え?それのせい?なんでだよ。
…人間離れしすぎて近寄れない?
私は人間だが。え、そういう意味じゃない?可愛すぎて…だぁ?
嘘つけ、総司 斬り倒すぞ。



14になった日、この鈴の髪飾りを両親
から貰った日の夜中 それは突然来た。


「おい、ここに伝説の花魁と言われた
女が居るそうだな。差し出せ」


「…長州の、尾崎清太郎か」

お父さんが戸を睨みながら言った

1人の男が家に飛び込んでくる。
後からぞろぞろとその男の仲間たちが
入ってくる。

「っ…あなたっ」
「青蘭、鈴を連れて逃げなさい 私は問題ない」
「駄目です‼︎あなたも…」

最後までお母さんはお父さんと一緒に逃げようとしていた。私もそれを望んで
いた。

「早くッ…これをもって逃げろ‼︎」


お父さんは何人もの浪士たちを相手にしながら 母さんに刀を渡した。 それは
お父さんの最高傑作。十六夜という刀。お母さんは全てを悟り、私を連れて外へ出た


『お、お父さんッ』

お父さんの最後は笑っていた
笑いながら 刀を握り 家族を守って
いた。お母さんに連れられて外に出た


「…っは…はっ…」

お母さんの目から止めどなく涙がこぼれる。私はそれを黙って見つめながら
お母さんについていく。


「待てえええッ」


しばらくすると後から追ってがついて
来た…おそらくお父さんは殺された。
それでも私は泣けなくて、我慢しなきゃいけなくて。ひたすらに走った


やがて、追っ手が道を塞ぐ

「鈴、よく聞いて
この刀を持って逃げなさい…絶対
捕まってはいけないわ。捕まったら最期
一生檻から出してもらえなくなる」


お母さんの顔は深刻だった。
お母さんは私に刀を持たせて自分の懐から 小刀を出した


『お、お母さん』 「早く、行って‼︎
あなたは生きるのよ…強く。」


お母さんは最後お父さんと同じで笑っていた。 私は泣きながらそこを離れた

そして、お母さんが浪士達に捕まりそうになった時 首を自分で切って 自害した

私は逃げながらもそこを遠くから見た。
力のない自分がとても惨めに思えた


なぜ、お父さんは死んだの。
なぜ、お母さんは死んだの。


なぜ、私は一人で逃げているの。
両親を見捨てて、こんな所にいるの。
私が強ければ、両親を救えたかもしれないのに。


許さない、幸せを奪った長州の
人たちを…絶対に殺してやる。


私はそう固く決意した


やがて家はその人たちに燃やされて
私は捕まらないように故郷を捨てて
山に篭った。毎日毎日 真剣で
稽古してもともと筋の良かった私は
そこら辺の男達よりも強くなっていた


だがまだ、足りない まだまだ
強くなりたい。私はその一心で
強くなり続けた


初めて人を斬ったのは15の時
長州の人だった。


雨が降りしきる中 狐の面で
顔を隠して 殺した。

すごく雨が冷たかった
血潮に染める肌は赤く染まり
雨が流していく。


私は 躊躇いながら そこを離れた


人を斬るたびにその躊躇いもなくなっていった。普通の人ならそこで悲しむのだろう、私はその逆だった


ああ、私は強くなっていってる。


ニヤリと、狐面の下で笑ってた。