『…っ?…ん…』
首を切り捨てられる、と思って
目を閉じていると なぜだか 唇に暖かい
何かが触れた。
『…⁉︎んっ…ん?…』
なんだろうと思って目を開けると
土方の端整な顔が近くにあった。なぜこんな近くにあるのかと言うと?
答え、接吻されてるから。←
『なっな…なななな、何しやがるッ』
「夢からいい加減覚めさせようとな、どうだ?現実に戻りやがったか?」
顔を真っ赤にして 非難すると
土方はニヤリ、と笑って 体を離した
私は必死で袖で唇を拭う。着物が汚れたって関係ない。
『て、テメェ…まだなんかやり方があっただろうがッ』
とっさに 私の前に座り込んでいる 土方の胸ぐらを掴んで タンカを切った。
「ねぇな、馬鹿を起こすのにはそれなりの衝撃を与えねえと」
土方は 自分の唇についた紅を拭いながらいけしゃあしゃあと言った。
『…生娘の、初めてを奪いながらなんなだ⁉︎その態度は⁉︎謝罪はないのかッ‼︎
それに、馬鹿とはなんだ⁉︎馬鹿とは…ッ私は馬鹿じゃないからなっ‼︎』
「うるせえな、黙れ。もう一回黙らしてもらいてえか?この俺に。」
土方が色っぽく微笑した。
な、なんなんだ?コイツッ悪びれしてないし…チョットかっこいいからって調子に乗り過ぎだ。自意識過剰だ。
土方を睨み付け、口を閉ざす。
『…ーっ…』
もう接吻はしたくないので 黙り込んで土方の胸ぐらを引っ張る。
「怒りは、収まったか?」
土方が 素面で私の顔を覗き込むので
ギラリ、と殺気をたぎらせる
『一発、殴らせろ』 「やなこった」
即答されて また、イライライラして
睨み付けると 土方は 少し笑った。
そして 飾りでキラキラした私の頭を
大きな手で撫でた。
「…無事で、よかった」
月に照らされた 頰が赤くなる
そんな バカな。土方がそんなこと
言うなんて、明日は槍が降るんじゃないだろうか←
「テメェは、こんなとこにいる奴
じゃねえよ。刀と生きるのがテメェ
にはお似合いだ。」
『なんか、けなされてる気がする』
「褒め言葉だと思っとけ。」
土方は ふいっと顔を背けて 体を離し、立ち上がった。そして 座り込んでいる
私に 手を差し伸べた。
「俺と、来い。仲間が待ってる」
土方が真顔で言う。 その手を私は
すぐにでも 握りたかったが 。
『…私には、帰る資格なんて、ない。
お前らの元がどれだけ心地よかったとしてもお前らと過ごした日がどれだけ楽しかったとしても』
顔を背けるとまた
頰に涙がつたった。
「そんな資格なんてねェよ。戻ればいいじゃねェか。泣くな」
土方が困ったように眉間にしわを
よせて また私の前にかがんだ。
涙で目が霞む。すると、土方が
私の頰につたう涙を指で拭った
『そ、んな 簡単じゃない!…
ふざけるな…っふざけるなっ…
何日寝てないとっ思ってるんだ…』
「帰ってくれば 解消されるだろ」
『…う、う。うるさいっ…私には
仲間なんて、いない。いや、いらないの‼︎ほっといてよ‼︎』
と、言い放つと土方が拳で頭をガンッ
と殴った。久々のゲンコツで、目の前に星がくるくる回る
「人間ってもんはな、一人で生きていくなんざ できねえんだよ。馬鹿なこと言うな、だから馬鹿なんだよ。」
『…〜。』

