土方side

「アァ”?…島原で…宴だあッ?」
「ちょ、土方さん‼︎」「刀しまってくださいよっ⁉︎」


刀を抜いて ギラリ、と光らせると
左之、新八、平助が慌てて 俺に手を合わせる。 こんな忙しいときに 島原に行けるかってんだ。何考えてんだ、コイツら


「そ、総司がよ、珍しく行きてえって言うんだよ」 「なに?」
左之が 俺の手を掴みながら言うので
ブンッ、と振りほどいて 文机に座り、書物に向き合う。

「なわけねーだろ、あの 色恋に興味のねぇガキが…」「誰がガキですか、下半身バカに言われたくありません」

ンだとコラァッ⁉︎ と後ろを向くと
戸のところに総司が ベェ、と下を小さく出しながら 笑っていた。まるで イタズラっ子のように。

「…!…じゃあお前、気になる女でも…」「んー…確信は無いですが、そうですね」

総司が あやふやな顔で神妙に言った

「何だよ、それ…つーか テメェらは
酒飲みに行きてェだけだろ?」

左之、新八、平助を見ると 三人が、三人とも 肩を落とした。

「だ…だってよ…息が詰まっちまうよ、土方さん 鈴だって、見つからねえしさ?パァっと憂さを晴らしてえよ。」

平助が 悔しげに目を逸らした。


「………。」「土方さんだって最近島原の女の人と ご無沙汰ですし? 1人くらい引っ掻きに行っても良いんじゃないですかー?」


総司がしれっと 毒を吐く
もう島原の女じゃ、満足しねーよ。
と、土方はため息を吐く。

別にあの組出娘を連れ帰ってきてスグにがっつくわけじゃねえが…。


「いつ、行く気だ?」

俺は酒を飲みに行くだけだからな、
と四人を睨みつけながら言うと 新八が
よっしゃ、と笑みを漏らす

「実は、近藤さんにも言ってんだよ
今日の夜 パァっとヤろうぜ‼︎」
「イエーイ‼︎‼︎」


「つーか、なんでそんな盛り上がってんだよ」「なんだか、島原で今評判の舞妓さんを呼ぶらしくて…なんだっけ?」
総司が首をかしげると 左之が興奮気味に言う。

「通り名がよ、傾城椿舞姫だぜ。
舞は天下一品らしいぜ!スゲェ人気の
舞妓でよ…でも 今夜は一日中居てくれるように金払ってるから 楽しむぜ‼︎」

「ほー、で?舞は天下一品。顔はどうなんだよ」

「あ、それが」

左之が 少しだけ 目を逸らして言う

「顔もよ、いいらしいぜ?噂ではな」

「はあ?」


怪訝に 眉間にシワを寄せると
左之が 言いずらそうに言う

「顔、見せねえんだとよ 面で隠して
だから 身も売らねえらしいな」

「ふーん?じゃあ 本格的に舞だけで
勝負してるんだ?」


総司が言うと 新八が そう!と指を指した

「左之はそう言いたかったんだよ」

「…なんか、まどろっこしい女だな。
舞妓じゃねえじゃねえか」

「だーかーら‼︎舞姫だって!」

平助が頰を膨らませて言うと総司が
ククッ…と笑った


「なんですか?齧りたいんですかー?」
「総司、昔のこと掘り返すんじゃねよ」