沖田side
「…は…ぁ…」
小さいため息が 夏の夜空に消えていった
今は巡察中。俺の隣には いつもニコニコしながらついてきた人はいない
暇だな。 ……話したいなあ…。
一目でいいから、会いたいよ。
あの子を思うと胸がキュウ、と
音を立てるんだ。
なんでだろうね…鈴…。
「ん、もう 折り返すよ」
平隊士を集めて 島原から新撰組の
屯所へ帰る。
視線を感じて ふと、上を見た
舞妓の 女の子がこちらをみていた。
そこは 鈴の舞妓姿を見た場所、天月亭。
総司は目を細めて その子を見ると
女の子は ピュッと首を引っ込めた
「……。」 「総司組長?」
名前を呼ばれて振り返ると
平隊士がおずおずと呼んでいた。
「あ、うん」
歩みを進めると 平隊士が
気づかわしげに、笑った
「総司組長でも 女に興味あるんですね
天月亭の舞妓はみんな綺麗ですよ」
「…べっつに?興味ないよ」
そっけなく返す。
興味なんて ない。 けどどこか
似てる気がしたんだ。
ねえ…鈴 いつになったら
帰ってくるの? 鈴がいなかったら
土方さんをいじめても楽しくないよ←
早く帰ってこないと…斬っちゃうから。
総司は 池田屋の方面を睨んで
夜の島原を 後にした。

