☆*:星降る夜に鈴の音.:*☆誠の華


土方side

静かな夏の夜。土方は隊務に一区切り
付けて 久しぶりに1人酒を飲んでいた

「…。」


縁側に座って 鈴を見つけた夜
のように美しい 満月を見上げて
器の酒を飲み干した。



あれから、もう1ヵ月経っていた
平助は意識を取り戻し 隊務をこなせるようになっていた。総司も同じく たまに
けだるそうにしてるが、隊務はこなしている。



そしてみんなが鈴を探している



もしかしたら いつもよくいた
屯所の庭で美しい夜や夕焼けの時
立ってじゃないか。


ふとそう思って みんな面影を探している


「全く…士気が下がる…」

総司も平助も腑抜けになってしまって
空気が淀むっつーのはこう言う事だ
と久しぶりに思ってしまった。

「ったく…」


自分で酒を注いで もう一杯飲もうとすると ニャアン、と猫の声が聞こえる

「…おう、なにしてんだよ」



よく鈴の立っていた 綺麗な
小さい池の近くの石の上で美夜が
こちらを見て 座っていた。



「……。」ニャァ、と
美夜が鳴いて 俺の胡座をかいた膝の
上に乗っかってきた。


「…お前の飼い主は、どこに行きやがったんだろーな」


わしゃわしゃと頭を撫でてやると
美夜は嬉しそうに 目を細めた。


こいつの世話は 鈴が居なくなると
いつの間にか俺の役割になっていた

みんなよく美夜を触る
美夜もおとなしくその時は撫でられて
いる。


だが、夜中になると美夜は 俺の部屋に勝手に入ってきて、勝手に寝てしまう。


他のやつの部屋で寝ればいいもんを。

だからみんな 夜美の世話は俺の役目だ
とか言って押し付けやがった。



別に 猫は嫌いじゃない。



だから 渋々やってる。





渋々だ。




「早く、帰ってくると いいな
…テメェの飼い主。」


にゃあ、と美夜が返事をした。